その昔、裏で芸能プロが経営しているキャバクラが六本木にあり、タレントのタマゴたちが接客していたことがあった。集まる男たちは女の夢を聞いて、体を代償に求める。そんな契約をかわしては、女たちのほとんどはボロボロになって消えていった。しかし、それでは収まらないという女たちが増えているというのが、カメラマン氏の印象である。
「取材、もう始めたから」
しばらくして連絡すると、そんな返事があった。言葉は少ないが、嘘ではないと思っている。そのうちに世間を騒がす不倫騒動が持ち上がって袋叩きにされればいい――。その日を沙希は楽しみにしている。 =つづく
(取材・構成=長昭彦/日刊ゲンダイ)