予防から手術まで 糖尿病での失明防ぐ「3つの武器」とは
脂質異常症治療薬の「フェノフィブラート」も、網膜症を抑える薬として注目されている。すでにオーストラリアでは糖尿病網膜症の進展抑制剤として承認されている。そのもとになったのが2つの研究結果だ。
ひとつは2型糖尿病患者9795人を対象とした無作為比較試験で、この薬を飲んだ群は、そうでなかった群と比べて増殖網膜症を30%減少させた。
もうひとつはコレステロール降下剤「スタチン」にこの薬を追加した試験(ACCORD Eye)で、40%も糖尿病網膜症の進行を遅らせた。
不幸にして網膜症が進行して手術が必要となった場合には、「パターンスキャンレーザー」がある。
「糖尿病網膜症が進行して前増殖糖尿病網膜症になると、進行を食い止めるためレーザーで焼いて網膜上の血管新生を抑える汎網膜光凝固が必要となります。今までの装置では広範囲を照射するため、必要な照射数が多くなると3回以上に分割して照射しなければならず、時間もかかりました。新しい装置では、照射回数も患者への負担も少なくて済みます」(都内の眼科専門医)
さらには、血管新生を阻害するアバスチン、ルセンティス、マクジェンといった注射薬で眼内の浮腫を抑える治療も有効だ。
いまは早めに治療すれば失明から逃れるチャンスがある時代。気になる人は眼科専門医に相談することだ。