筋力低下は早死を招く 中高年はダイエットより“握力強化”
「握力は単にモノをつかむ力というだけでなく、全身の筋力の代表的指標となり得るものです。握力の強い人はある程度、全身の筋力も強いと考えられます。これが衰えると病気やケガにつながり、高齢者は転倒や骨折から寝たきりリスクが高まる恐れがあるのです」
握力が強いほど長生きであることは、厚生労働省の研究班が福岡県久山町在住の2372人を対象に行った研究でも明らかだ。男女別に握力が弱い順から4組に分けて死亡原因との関係を20年間追跡調査したところ、握力が強いほど死亡リスクが下がる傾向にあり、最も握力の強い組(男性47キロ以上、女性28キロ以上)の死亡リスクは最も弱い組(男性35キロ未満、女性19キロ未満)よりも約4割も低かった。同様な研究は他にもあって、握力が健康長寿のバロメーターになり得ることが世界中から報告されている。
■心筋梗塞や脳卒中リスクもわかる?
驚くのは握力の強い人は心臓や血管の病気のリスクも低いこと。昨年5月、世界的に権威のある医学雑誌「ランセット」はカナダのマクマスター大学の研究を掲載している。17カ国の家庭を対象に握力測定を行い、その後4年近く死亡率と死亡原因を調べたところ、握力が5キロ減少するごとに全死亡率は16%高まり、心筋梗塞が7%、脳卒中は9%増えたという。