著者のコラム一覧
和田秀樹精神科医

1960年6月、大阪府出身。85年に東京大学医学部を卒業。精神科医。東大病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書多数。「80歳の壁」(幻冬舎、税込み990円)は現在、50万部のベストセラーに。最新刊「70歳の正解」(同)も好評発売中。

「ウチはボケない家系だから大丈夫」に科学的根拠はない

公開日: 更新日:

 このようにアルツハイマー型認知症発症にアミロイドβタンパクが深く関わっていることは間違いのないことなのだが、いまのところ、これを脳内から取り除いたり、その生成を止めたりする治療薬の開発、あるいは治療法は確立されていない。認知症の治療薬としてはアリセプト、メマリーなどがあるが、これらはアミロイドβタンパクの蓄積を改善する薬ではなく、アルツハイマー病においてはアセチルコリンという神経伝達物質が減少するため、それを補うための薬なのである。

 脳におけるアミロイドβタンパクの蓄積の予防策も、私にはよくわからない。ただ、脳の環境が良い人のほうがなりにくいように思われる。たとえば、うつ病で治療を受けないと神経伝達物質の不足が長年続くせいか、年をとってから認知症になりやすいことが知られている。アルコールの大量摂取もそうだ。低血糖による脳のダメージも大きいようで、栄養状態が悪い人は認知症になりやすい。

 糖尿病が認知症のリスクファクターという説が強まっているが、私が浴風会病院にいる際に、解剖までして調べたデータでは、糖尿病のない人のほうが3倍くらい認知症になりやすかった。その頃は、血糖値が高いほうが脳にいいと考えられ、浴風会では糖尿病の治療をしなかった。今は糖尿病の治療をするので、認知症と糖尿病の関係については、治療による低血糖の影響の可能性を私は疑っている。経験的に言うと、私は高齢になってからの過度の節制によるストレスのほうが脳に悪いと信じている。

 いずれにせよ、「家系的に大丈夫」は論外で、脳にいい生活を心がけたいものである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 3

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  4. 4

    大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる

  5. 5

    「クスリのアオキ」は売上高の5割がフード…新規出店に加え地場スーパーのM&Aで規模拡大

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    189cmの阿部寛「キャスター」が好発進 日本も男女高身長俳優がドラマを席巻する時代に

  4. 9

    PL学園の選手はなぜ胸に手を当て、なんとつぶやいていたのか…強力打線と強靭メンタルの秘密

  5. 10

    悪質犯罪で逮捕!大商大・冨山監督の素性と大学球界の闇…中古車販売、犬のブリーダー、一口馬主