直腸がんロボット手術で排尿障害や人工肛門は避けられるか
「人工肛門には一時的と永久的があり、永久的人工肛門が必要か否かは手術法(開腹、腹腔鏡、ロボット)で変わるわけではありません。直腸がんの位置、進行度、患者さんの年齢や生活環境、患者さん自身の持つ哲学を理解して、十分に話し合った上で決定します。ロボットだから人工肛門にならないわけではありませんが、当院では以前なら永久的人工肛門の適応となる直腸がん患者さんの約85%が、肛門温存に成功しています」
肛門近くにできた直腸がんでは、手術後、一時的に人工肛門を設置し、2~3カ月後に閉鎖するケースが大半だ。
「人工肛門がどうしても嫌だという方には、人工肛門を設置しない方向で手術します。しかし、人工肛門を設置しない場合、縫合不全による再手術や、合併症で命を落とす危険が出てくる。きちんと説明すると、大半の患者さんは一時的な人工肛門を選びます」
中野医長のもとには、「他院で手術日を先に決められてしまったが、治療法に納得がいかない」と相談しに来る患者が少なからずいる。
「治療法より重要なのは、信頼の置ける医師を選ぶこと。手術後のリスクについて、十分に説明を受けていない方もいます。多くの直腸がんは一刻を争わない。治療のメリット、デメリットを聞き、医師と話し合った上で意思決定すべきです」
頭に入れておこう。