先進的な医療には「ヒト・モノ・カネ」が余計に必要になる
TAVIのような先進的な医療が実現するまでには、「ヒト・モノ・カネ」が揃って大きく動いています。まずは先進的な技術の開発が必要で、そのためには莫大な開発費がかかります。また、そうした先進的な医療を行うためには、特別な医療機器を揃えなければなりません。さらに、実際の現場で安全性や効果を検証する臨床試験が必要で、この費用も相当かかります。
そのうえ従来とは異なる技術を要する新しい特殊な治療法なので、それをきちんと実行できる医師を育てるための訓練が必要です。しかも、そうした先進的な治療法をいったん行えるようになったとしても、それを改良したものが登場すると、また同じように「ヒト・モノ・カネ」が少しずつ必要になります。
■スマートに進化して患者の身体的な負担は減ったが…
先進的な医療のほとんどは、従来の大掛かりな治療法に比べて、低侵襲でスマートに進化したものといえます。スマートになって患者さんの負担が少なくなった分、病気が再発したときに再治療ができる可能性が高くなります。ただ、再治療ということは、1度目と同じかそれ以上の医療費がかかりますし、治療のハードルが高くなるため実施する側にはエキスパートな対応が求められます。より確実性が高い先進的な医療技術、医療設備、医療器具などが必要で、そうした経費もゼロというわけではありません。つまり、先進的な医療は「ヒト・モノ・カネ」の資源が余計にかかる医療ともいえるのです。