「老衰」が日本人の死因3位に浮上 なぜ増えているのか?
それは胃ろうをする人の減少にも表れている。レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)によると、2011年に比較して17年の胃ろう造設手術数は約半分となっている。
もうひとつの理由は他の原因で死ぬ人が減ったからだ。
「1970年に年間1万6700人以上だった交通事故死は2019年には3215人となりました。死因トップのがんも15年以降は増加が止まり、37万人台で推移しています。しかも年齢別の死亡率で見ると、50代以下はこの20年間で半分以下に低下していますし、60代以上でも大幅に下がりつつあります。また高齢化の影響を除いた年齢調整死亡率で見ても、約25%下がっています。心疾患の死亡数も、最近10年は19万人前後で、ほとんど変化していません。つまり死因の1位と2位は、完全に頭打ちになっているのです。医療技術の向上や健康診断の普及により病気が早期発見、早期治療されるようになった。そのこともその一因でしょう」
そもそも老衰死はなぜ起こるのか?
それは年を取ると全身の細胞が徐々に死を迎え、細胞分裂による再生が行われなくなるからだ。当然、代謝機能も低下し、異常なタンパク質が多くつくられ、筋肉や心臓や腎臓など各臓器の異常が起きるようになる。