P・マッカートニーやF・マーキュリーも愛した高級ピアノ「ベヒシュタイン」の秘密
ベヒシュタイン・ジャパン 加藤正人社長
NHKの隠れた人気番組「駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノ」の影響もあるのだろうか。いまピアノに興味をもつ中高年が増えているそうだ。そこで今回は知識をぐっと深めてもらう企画。世界三大ピアノの一つで、ビートルズのポール・マッカートニーやクイーンのフレディ・マーキュリーらにも愛用されてきたベヒシュタインの意外な秘密について聞いてみた。ウンチクを深めればあなたのピアノの腕も上がるかも──。(前後編の【前編】)
◇ ◇ ◇
【Q】ベヒシュタインが日本に入ってきたのはいつ頃からなのですか?
日本には大正10年ごろに入ってきました。当時の日本楽器(現ヤマハ)の2代目社長がピアノ製造の技術を学ぶため欧米のメーカーを探していたところ、ベヒシュタインと提携することになったのです。その後、5年をかけてベヒシュタインの技術者が浜松に滞在し、日本楽器の技術者に指導。これが日本のピアノ製造の礎となりました。
その後、第2次世界大戦を経て、ベヒシュタインは不遇の時代を過ごします。しかし1986年、ドイツ人のピアノ職人たちが立ち上がり、再びベヒシュタインをドイツブランドとして復活させたのです。そして翌87年、ベヒシュタイン・ジャパンの前身になるベヒシュタイン日本総代理店が設立されました。