冬の味覚の王様「ズワイガニ」を10倍おいしく食べる! この道25年の“カニ伝道師”に教わった
伝食代表取締役 田辺晃司さん
冬の味覚の王様ズワイガニ。今年は例年より市場価格が安いといわれ、気軽に高級グルメに舌鼓を打つチャンスだ。しかし、めったに食べないものだからこそ、選び方などを詳しく知る人は少ない。そこでこの道25年のカニ伝道師・田辺さんに、ズワイガニを10倍おいしく食べる方法を教わった。
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──今冬は安いと言われるがナゼ?
確かに、市場価格は昨年に比べ2~3割下がっています。そのほとんどが冷凍の輸入ズワイガニです。理由は2つあります。ひとつは昨年が高すぎたこと。中国をはじめとする世界的なカニ需要の高まりで、昨年は例年の1.5倍という相場でした。それが今年は元に戻ったので、昨年より安くなったと感じるのです。
もうひとつが戦争の影響。ウクライナ戦争の対抗措置として欧米諸国がロシア産の海産物を禁輸している影響で、ロシア産のカニが大量に日本に回ってきているのです。これについては、なかなか手放しでは喜べない理由ですね。
──カニの主な産地は?
ズワイガニの世界3大漁業はロシア、アラスカ、カナダです。最も多いのはカナダで、年間10万トンにも及びます。海はつながっており、カニの種類に大きな違いはありませんが、水揚げ後の処理が地域によって異なり、それが多少鮮度や味に影響します。最も鮮度が良いのは水揚げしてすぐに茹でて冷凍する「船上凍結」。これはロシアが行っています。一方、カナダとアラスカは港に戻ってから茹でて冷凍する「陸上凍結」を主に採用しています。ロシア産はサイズも大きく、消費者の人気も高いのですが、船上凍結は海水で茹でるので塩味が強いと感じる人もいます。最後はお好みですね。
──カニの種類は?
主に市場に出回っているのはズワイガニ、タラバガニ、毛ガニの3種類です。世界的にはキングクラブと呼ばれるタラバガニが1番人気で、ズワイガニや、亜種のベニズワイガニ、ズワイガニのメスのセイコガニまで好むのは日本人くらい。カニミソを珍重するのも日本人だけで、欧米人は見向きもしません。しかし最近は日本のシーフードが注目されており、ズワイガニの需要も高まっています。欧米人がカニミソと熱燗のおいしさに気づいてしまったら、さらに高根の花になるかもしれませんね。