シニアのための「お尻」エクササイズ 下半身の老化はお尻の衰えが原因
OSHIRI Factory 杉浦巌さん
いま女性の間でヒップアップエクササイズが大人気だが、大きな筋肉で構成されているヒップを鍛えることは代謝アップや下半身強化につながり、実は男性にもおすすめ。特に脚痩せによるふらつきや転倒、座り疲れ、精力減退が始まるシニア世代にこそ必要不可欠なトレーニングなのだ。
そこでお尻に特化したジム「OSHIRI Factory」のおしり工場長こと杉浦巌さんに、男性に効果的なお尻エクササイズを教わった。
昔ブルガリアの五輪選手が行っていたことからその名がついたとされます。より効果を上げるために、足を前後に大きく開いて、後ろ足を膝くらいの高さの椅子に乗せます。このとき、前足のかかとに約90%の重心を置き、後ろ足にはほとんど体重を乗せないのがポイント。ゆっくりと腰を下ろし、しっかりと上げる動作を行います。
体が起き上がったり、背中が丸まったりするとお尻への負荷が逃げるため、軽く胸を張った状態を保つことが重要です。このエクササイズは大臀筋とハムストリングスを効果的に鍛え、階段の上り下りが楽になるなどの効果があります。また、筋肉が増えることで代謝が上がり、テストステロンの増加によって精力が増強されるという利点もあります。
ブルガリアンスクワットを狭い歩幅で行うバージョンです。大腿四頭筋を鍛えることができます。体で最も大きな筋肉群の一つであり、特に男性が年齢と共に気になる「足が細くなる」問題の防止に役立ちます。
行う際は、体を起こした状態で、前足のつま先(母指球)に体重を乗せることを意識し、前かがみにならないように注意します。こちらも筋肉が増えることで代謝が向上し、テストステロンの増加により精力アップにつながります。男性はしばしば腕や胸の筋トレに焦点を当てがちですが、トータルバランスの維持が重要。下半身を鍛えると、例えばゴルフの飛距離向上にも貢献します。
※最初は各10~13回が目安。できるようになったら15回から20回。
両足を肩幅の約2倍開き、つま先を30~45度外側に向け、この姿勢を保ったままゆっくりと腰を下ろし、太ももが床と平行になるくらいまで下がります。この際、膝が内側に入らないように注意します。
お尻回りの筋肉を全て鍛える効果があり、特に内転筋がストレッチされることで股関節の可動域が広がり、お尻トレーニングの効果を高めます。
運動中は背中をまっすぐ起こし、かかとに重心を置くこと、立ち上がる時に膝が伸び切らないようにすることが大切です。この動作は相撲取りの四股に似ており、トレーニングの最初に行うのが効果的です。
床にあおむけになり膝を立てて行います。膝は肩幅くらいに開き、上半身はリラックスさせます。足はかかとに重心を置き、背中の隙間を床に押し付けることで恥骨が上がるようなイメージを持ちます。
この状態で尾骨に力を集中させ、恥骨を自分の顔の方に向けるようにグッと力を入れて持ち上げます。持ち上げ切ったところでお尻を締め、ゆっくりと下ろしますが、この際お尻の力を抜かずにすぐにまた上げる動作を繰り返します。
意識しないと楽にできてしまうため、自分のお尻に意識的に力を入れて締めることが重要です。
このトレーニングは、貝が殻を開いたり閉じたりする動きに似ていることから名付けられました。まずはテレビを見るような姿勢で床に横向きに寝転がり、頭を片手で支えます。股関節を45度、膝を90度に保ちながら、かかとを軸にして膝の上げ下げを繰り返します。重要なのは、背中側のお尻の上にある中臀筋を使って股関節の外旋を行うことです。体が後ろに倒れてしまうと負荷がかからなくなるので、体は常に床に垂直を保ちます。中臀筋は体のバランスを保つのに重要で、片足立ちで靴下をはくような動作も安定して行えるようになります。
※最初は各10~13回が目安。できるようになったら15~20回。
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40歳を過ぎると毎年約1%の筋肉が減少すると言われるため、長生きしたけりゃお尻を鍛えなさい! と言いたいです。最初はつらいと感じるかもしれませんが、続けるうちに「効いている」というポジティブな気持ちになり、日常のストレスからも一時的に解放されます。「ココロもお尻も上向きに」を合言葉に、楽しみながらたくましいお尻を手に入れましょう!
(取材・文=いからしひろき)
▽杉浦巌(すぎうら・いわお) 1976年岐阜県出身。日本体育施設協会公認トレーニング指導士。保険会社で働きながら2019年にスクワットに特化したジムを副業で開始。20年独立。22年10月「OSHIRI Factory(おしり工場)」に名称変更。エンタメと掛け合わせたヒップアップフィットネスジムとして人気を博している。