サムスン電子が稼ぎ頭の半導体部門で赤字転落のなぜ…韓国経済の先行きに不安も
市況は足元、緩やかに回復しつつある。世界の半導体販売額は昨年11月、1年3カ月ぶりに増加に転じた。サムスンの営業損益も「今年4~6月には浮上する」(事情通)との見方も少なくない。
それよりもサムスンにとって気掛かりなのはSKの追い上げだろう。これまで30年間世界首位を死守し、なおかつ独走してきたDRAMの世界シェアで23年7~9月にはサムスン38.9%、SK34.3%とわずか4.6ポイント差にまで詰め寄られた。
肉薄を許したのは「HBM(広帯域メモリー)」と呼ばれる次世代DRAMでの出遅れだ。高速・大容量処理が可能な半導体で、「AI半導体」などに利用される。その開発・生産などで後手に回り、「気が付いた時にはSKに特許でがんじがらめにされていた」とサムスン関係者はほぞを噛む。
韓国経済におけるサムスンの存在感は圧倒的だ。名目GDPに占めるサムスン比率は22年で2割超。サムスンの業績停滞もあって韓国は同年のGDP世界ランキングでトップ10から滑り落ちたという経緯もある。日本政府もサムスンの横浜での研究開発拠点新設に最大200億円の補助金を拠出するとあって、その動向に無関心ではいられない。