スパリゾートハワイアンズを米ファンドが買収…フォートレスのTOBはまさに「売り時」だった
映画「フラガール」の舞台となった福島県いわき市の総合レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」が、米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」に買収される。
ハワイアンズの運営会社「常磐興産」に対してフォートレスは9月10日から2度に分けて株式公開買い付け(TOB)を実施し、傘下に収める。買い付け価格は1回目が6日の終値に約33%のプレミアムを乗せた1650円、2回目は6日の終値と同じ1240円。TOB成立後、常磐興産は上場廃止となる。
常磐興産のルーツは渋沢栄一が1884年に設立した「磐城炭鉱」で、日本の近代化や戦後の復興を支えた。しかし、昭和30年代以降、石炭産業が衰退する中、温泉リゾートに活路を見いだした。その地域の苦心の顛末は映画「フラガール」として上映され、一大ブームを巻き起こした。
知られていないことだが、その映画を企画し、資金を拠出したのは1998年に経営破綻した日本長期信用銀行OBの土井宏文氏だ。土井氏は自身が設立した信託会社「ジャパン・デジタル・コンテンツ」を介して資金を集めてフラガール製作にこぎ着けた。映画という知的財産を信託化する画期的な事業だった。しかし、その後、「ジャパン・デジタル・コンテンツ」も行政処分を受け、事業継続を断念した。