巨人新加入セペダ「いきなり4番」でチームに漂う不穏な空気
■「実力至上主義」はどこへ
対照的に、試合前の選手は冷静で、「セペダ? まだ知らないっす。もしセンターを守ったらカバーする? いや、オレ、ライトなんで関係ないっす」とは長野の反応。この日は8番に打順が降格したとあって、いつもの陽気さが感じられなかった。中堅で先発した松本哲は「セペダ? まだよく分かんないですね。左翼の方までカバー? それはいつも意識してるんで、やることは変わらない」とこちらも淡々。
チーム関係者が「確かに打撃は良さそうだけど、守備とか動けるのかな? (04年まで在籍した)晩年のペタジーニにそっくりだな」とボソリと漏らす横で、あるコーチはなぜか「セペダが楽しみ? まだ見てないし、全然楽しみじゃないよ!」とカリカリしているなど、試合前のグラウンドには妙な空気が漂っていた。
当然だろう。注目のセペダは3点を追う三回の第2打席で一、二塁間を破る適時打を放ち、初安打初打点をマーク。3打数1安打の結果に原監督は「非常に存在感もあって結果も出たし、いいデビューをしたと思う」と話したが、打ったからいいという話ではない。原監督は「実力至上主義」の方針のもと、調子が悪いとみれば主力の阿部や坂本ですら先発から外すなど、時に非情ともいわれる起用、采配でチームをマネジメントしてきた。今回のセペダへの対応はこれまでの方針に明らかに反する。