スタミナより重要…錦織圭「4大大会制覇」へ足りないもの
■フィジカルトレーナーの視点
「錦織が4大大会に勝つには、次元の違う体の使い方が求められる」と言うのは、フィジカルトレーナーの平山昌弘氏だ。
「全身運動を長く続けるために、最大酸素摂取量を上げるトレーニングや、筋肉そのものの運動能力を上げるトレーニングはあるし、それを否定しません。しかし、アスリートはその前に体を効率よく使いこなすことが重要です。効率がよければ少ない力でたくさん動けるし、疲労も少ない。一流選手は長時間に及ぶ試合でも体のバランスがいい。上半身が股関節、骨盤のどこにのっているかを把握し、無駄な力を使わないからです。ワウリンカの片手バックハンドは、腰が深いストロークで切れがある。あれは上半身の力で打っているわけではない。サッカーのメッシやネイマールらも、試合終盤でも脱力した素早い動きで相手選手を抜き、日本選手には真似のできない厳しい体勢からでも正確なシュートを放つ。あの動きはスタミナの問題ではなく、体の使い方を知っているからできるのです。過酷な条件でもワウリンカの運動量が落ちず、トップパフォーマンスを出せたのも同じ理由でしょう」
錦織は、チャン・コーチとボールを打ってばかりいても、ビッグタイトルは手にできないということだ。