貴景勝が目指す「一番遠いところ」は右膝の“時限爆弾”次第
ここで満足しているわけにはいかない。
18日、貴景勝(23)が栃ノ心を下し、9勝目(2敗)。大関復帰ノルマの2ケタ勝利にリーチをかけた。
2敗は平幕の明生と並んでトップタイの成績。昨年11月場所以来となる2度目の賜杯にも期待が高まる。
が、本人は優勝争いについて、「意識していません」とこう話す。
「優勝争いはモチベーションにつながるけど、それが主体になると体が硬くなっちゃうんで。(賜杯は)力を出し切ったあとの結果。その結果が、また先につながる。(自分は)一番遠いところを目指している。そのために何をするか、やるべきことがたくさんある」
貴景勝が目指す「一番遠いところ」とはつまり、横綱の地位だろう。23歳とまだ若く、大関復帰なら、いつ横綱に昇進してもおかしくない力はあるともっぱらだ。
しかし、懸念もある。それが5月場所で靱帯を痛めた右ヒザだ。
「程度の重い軽いはあれ、力士にとってヒザのケガは重症です。治療次第で痛みがなくなったり、状態が良くなることはあるが、『完治』だけは絶対にない。ただでさえヒザに負担のかかる競技で、年6度の本場所に加え、春夏秋冬4度の巡業もある。ヒザのケガは治ったように見えても、眠れる爆弾として残り続けるのです」(ある親方)
貴景勝は右ヒザについて「ちゃんと動いている」と言いつつ、「どこも痛くない力士なんていない」と自分に言い聞かせるように話した。
右ヒザのバクダンがタイムリミットを迎える前に横綱に昇進できればいいのだが……。