文庫ワールド
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描き下ろし時代小説編
元亀3(1572)年、素破として武田信玄に仕える市勘は、駿河の江尻城主穴山信君の下で水軍編成に携わっていた。ある日、市勘は他人の身代わりとして海に投げ込まれた里々を助ける。故郷の伊豆に帰るよう説得す…
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「美しき一日の終わり」有吉玉青著
その朝、美妙は、同居する娘一家が起きてくる前に身支度を整え家を出る。古希を迎えた美妙が杖を頼りにたどりついたのは、数年前まで暮らしていた家だ。荒廃した家は、娘の意向でアパートに建て替えるために取り壊…
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「ルック・バック・イン・アンガー」樋口毅宏著
アダルト雑誌の出版社で働く白鳥は、世界は自分のペニスを中心に回っているとの信条でこれまで生きてきた。 14歳のときの2歳年上の恋人から現在に至るまで、白鳥はこれまで愛してきた女を、すべて他の…
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「ここまでわかった!新選組の謎」「歴史読本」編集部編
大河ドラマ「新選組!」の放映を機にファン層が広がる新選組を主題にした歴史読み物。 フィクションでは入隊のために厳しい実技試験があったように描かれているが、現実は隊士募集に応募してきた人に剣の…
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「あきんど百譚 さくら」佐々木裕一著
能登屋の主・作兵衛は、8代続く塗師で、その職人技は天下一品と称賛され、将軍家献上の品を依頼されることも珍しくない。一方で、独身の作兵衛は、一晩で100両の大金を使うこともあるほど、夜遊びも激しい。あ…
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書き下ろしミステリー編
主婦の宏美は、早世した親友の啓子の遺品を受け取る。箱から出てきたのは実験ノートと彼女の祖母の手製の梅酢が入った瓶だった。同封の手紙を読むと、小学生時代の2人が共同研究したように梅酢に10円玉を浸すと…
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料理小説編
作家の描写力は、時にページからおいしそうな匂いまで立ち上らせる。そんな作中の料理も味わい、楽しめる小説を集めてみた。 今春、放映された同名ドラマの脚本の文庫化。 表参道の雑居ビルの屋…
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「空海と密教」ひろさちや著
空海の説いた密教の教えに学ぶ生き方指南書。 釈迦は欲望があるから人間は苦しみ悩むと説いた。ゆえに初期の弟子たちは禁欲主義こそ仏教の本質だと考えたが、空海は仏教の本質は「大欲」だと主張。 …
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「永遠の夏 戦争小説集」 五木寛之・城山三郎ほか著 末國善己編
戦争をテーマにした名作を編んだアンソロジー。 ジャーナリストの「私」の祖父が81歳で死去。生前、私物はすべて処分されていたが、一通の手紙が残っていた。差出人の八雲は、戦時中にハルビン特務機関…
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「視線」永嶋恵美著
劇団員の夏帆は、生計のために住宅地図の調査員として働いていた。 ある日、小学生のときに住んでいた四ッ坂町を担当することになった夏帆は、調査中に元同級生の聡美と再会。仕事後、聡美の家を訪ねるこ…
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「死を受けとめる練習」鎌田實著
必要以上に怖がったり、避けたり、逃げたりすればするほど、死はつらく、苦しく、悲しいものになるという。医師として、多くの患者の最期を見届けてきた著者が、老いや死をどう迎えればよいのかをつづったエッセー…
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日本史トリビア編
江戸時代において不倫は犯罪で、不倫した男女は共に死罪になったが、あまりに件数が増えたために金銭罰にかえられた。 その額は一律で、現在の96万円に相当する大判1枚だったそうだ。 その他…
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怪奇・魔界編
人間は、人知の及ばぬ怪奇や超常現象に恐れを抱くとともに、強く引かれる。ゆえにそれはいつの時代も物語の一ジャンルを確立してきた。今回は怪奇・魔界をテーマにした4冊を紹介する。 カフェのオーナー…
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人類永遠のテーマ「夫婦」の物語
上総の寒村で農家の三女に生まれたあいは、幼いころから糸を紡ぐのが上手で、伯母の年子に機織りを学ぶ。18歳になったとき、年子夫妻の養子・関寛斎に嫁ぐ。嘉永5年、佐倉で医術を学んでいた寛斎は、結婚を機に…