描き下ろし時代小説編
「奴隷戦国 1572年 信玄の海人」久瀬千路著
元亀3(1572)年、素破として武田信玄に仕える市勘は、駿河の江尻城主穴山信君の下で水軍編成に携わっていた。ある日、市勘は他人の身代わりとして海に投げ込まれた里々を助ける。故郷の伊豆に帰るよう説得するが応じない里々は、市勘の家に居座る。そんな中、信玄が遠江に向け出陣。二俣城攻めに加わる市勘に里々も同行する。難攻不落の二俣城を落とすため筏で天竜川を下った市勘は、戦功をあげるが、重傷を負う。数日後、九死に一生を得て隠れ家に戻った市勘は、里々が何者かにさらわれ、商人に売られたことを知る。
愛する人を救おうと奴隷商人に立ち向かう若き忍びの戦いを描いた時代冒険小説。(光文社 620円+税)