「ルック・バック・イン・アンガー」樋口毅宏著
アダルト雑誌の出版社で働く白鳥は、世界は自分のペニスを中心に回っているとの信条でこれまで生きてきた。
14歳のときの2歳年上の恋人から現在に至るまで、白鳥はこれまで愛してきた女を、すべて他の男に抱かせてきた。他の男に抱かれた女を取り戻そうと必死にもがくときだけ、彼の愛は起動するのだ。営業部の女子社員・怜子も例外ではない。白鳥は怜子を上司の蜂村に抱かせたこともある。選択肢を与えられず隷属する怜子は、やがて土日にソープ嬢として他の男に抱かれるようになる。(「白鳥讃歌」)
その他、酒に溺れるロック狂の男など、著者の編集者時代の体験をもとに破天荒な男たちの生きざまを描いた連作集。(祥伝社 570円+税)