料理小説編
「問題のあるレストラン(1)」坂元裕二著
作家の描写力は、時にページからおいしそうな匂いまで立ち上らせる。そんな作中の料理も味わい、楽しめる小説を集めてみた。
今春、放映された同名ドラマの脚本の文庫化。
表参道の雑居ビルの屋上にたま子に呼び出された4人が集まる。高校時代の友人・鏡子以外は、たま子のかつての仕事仲間だった。しかし、肝心のたま子が現れない。鏡子によると、逮捕されたらしい。飲食関連会社で新規店舗のメニュー作りやスタッフ集めに携わっていたたま子。会社はパワハラやセクハラが当たり前で、成果はすべて男性社員のもの。それでも耐えて仕事に打ち込んでいたが、親友の五月の屈辱を晴らすために立ち上がり、逮捕されたのだった。釈放され駆け付けたたま子は、集まったメンバーにこの屋上でレストランを開こうと持ち掛ける。(河出書房新社 800円+税)