阿佐田哲也 ギャンブルの哲学
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<最終回>麻雀は「深き川を浅く渡る」必要がある
チャンスとみたら逡巡するな。生き馬の目を抜く株式市場では決断の速さと正確さが、すべてを決める。チャンスは前髪で掴め! という言葉もある。 麻雀も強気に打つのがいい。失敗を恐れ、腰の弱い打ち方…
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<10>ツキは雑に扱うと逃げていく ドラ牌はどう扱うべきか
麻雀の戦術書をひもといても、ドラ牌についての記述があまりない。 「ドラに安全牌なし」 「両面の早食いには、ドラ暗刻を疑え」 といったドラの危険性を強調した格言があるくらいか。また…
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<9>麻雀は打ち手によって格調が生まれる
麻雀クラブで、闘牌している様子を見ると、ボヤく、愚痴る、責めるのオンパレード。ツイてない、下手くそ、バカだよと、自分を罵る声が交錯している。 それは人が失敗を恐れ、完璧に事を運ぶのに拘泥する…
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<8>麻雀に勝つ第一歩は相手に好かれること
麻雀というゲームの魅力は曖昧な部分が多いことにもある。摸打を繰り返して手役をつくり、相手の危険牌を掴めば手牌で使う。そういう手順はある場面では正解だが、別の局面では違う意味を持つこともある。 …
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<7>「聴牌までが手作りではない」の教え そこからひと工夫
私の知る限り、博打について書かれた最古の文献は、古代インドの「リグ・ベーダ」である。3500年から4000年前、すでにギャンブルが存在していたのである。 孔子は紀元前5~6世紀の人だが、その…
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<6>麻雀は速さが武器 灘麻太郎プロの魅力は攻めの切れ味
今回は人気のプロ雀士、灘麻太郎さんに登場していただく。王位戦4連覇など、タイトル戦で活躍した。その後、日本プロ麻雀連盟を結成して、雀士の地位向上を図るなど、多岐にわたって麻雀に尽くした。 灘…
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<5>麻雀は常に「情報処理」の能力が求められている
阿佐田哲也さんの著書「麻雀の推理」(双葉社刊)の中に、こんな言葉が出てくる。 麻雀は性格が、端的に反映してくるゲームである……ドキリとさせられる言葉だ。配牌、ツモ牌は天運で、雀卓に座る人には…
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<4>記憶に残る負けがある「麻雀名人戦」第2期の美しい牌譜
阿佐田哲也さんが、本名の色川武大と2つの名で、作品活動を続けたのは、よく知られている。もともと、私小説の要素の強い人で、色川作品はシリアスな作風。今でも忘れられないのは、直木賞の受賞を知らせたNHK…
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<3>作家になる原点は少年時代の躓きと傷
人生の転機は、おおむね思いがけない形で訪れるものだ。阿佐田哲也さんの人生で、大きな躓きとなった事件が起こったのは、卒業そして中学進学を控えた、小学校6年生3学期だった。 私は、この躓きをきっ…
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<2>阿佐田少年は東京・市谷でB29の大空襲にあった
「僕は、劣等生で、中学校を卒業してないんですよ」 阿佐田哲也さんから、こんな打ち明け話を聞いたのは、知り合って間もない頃。一緒に乗ったタクシーの中である。昭和16年に彼は、東京の市谷尋常小学校…
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<1>麻雀で始まり競輪場で終わった18年の付き合い
阿佐田哲也さんと初めて会ったのは、麻雀卓を挟んでだった。エンターテインメントとして、令和の今も高い支持を受けている「麻雀放浪記」を、週刊大衆に連載中だった。 大きな体を傾け、ぼそっと言った。…