佐高信「この国の会社」
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新生銀行は岸田文雄も勤めていた旧長銀 「宏池会のサイフ」と呼ばれたワケは
前回、SBIホールディングスの社長、北尾吉孝について書いたら、直後に、同社が新生銀行にTOB(株式公開買い付け)をかけると発表して、その偶然に驚いた。 北尾は元金融庁長官の五味広文を、めざす…
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「致知」の愛読者、SBIホールディングス北尾吉孝CEOに感じるウサン臭さ
北尾吉孝がワンマンの会社である。SBIはソフトバンク・インベストメントの略。菅義偉に取り入って地方銀行の再編に暗躍する人物といわれるが、「人間学を学ぶ月刊誌」の『致知』の推奨者としても知られる。 …
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伊勢丹に象徴される百貨店の体質…同社は社員を「忠勤者」と呼んで墓までつくっていた
今年の2月の三越恵比寿店の閉店は百貨店の時代が終わったことを象徴的に印象づけた。それはコロナだけのせいではない。呉服屋から出発して、いわばゼイタクを売ってきたが、体質は極めて古い。それは三越も伊勢丹…
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西松建設が中国人強制徴用裁判で和解したのはなぜか
この国の会社で、後継社長が前任社長と違う方針を打ち出すのは容易なことではない。それも政治がからむ話ならなおさらである。ドイツでは政府の責任とは別にベンツやフォルクスワーゲンが企業の戦争責任を認めて被…
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「1円入札」事件が示す富士通の”常識”と”非常識”
この会社には、かつて秋草直之というワンマン社長がいた。業績不振の責任を問われて秋草は「従業員が働かないからだ」と開き直った。こうした”伝統”があるためか、同じくワンマンで社長、会長を歴任した山本卓真…
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熊王徳平「虎と狼」が描いた小佐野賢治と堤康次郎の山梨交通乗っ取り合戦
先日、甲府に行った。市内を走っているバスに「山交」とある。山梨交通の略だが、私の郷里の山形では「山交」は山形交通の略である。それはともかく、1960年にこの会社の乗っ取り合戦が展開されたことを思い出…
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公取の立ち入り検査を受けた中国電力の腐敗度
地域独占が認められてきた日本の電力会社は競争を活力剤とする資本主義の会社とは思えないほど非常識な会社である。私は電力会社を役所の悪いところと会社の悪いところを併せもっていると批判してきたが、何と、九…
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社名が消えると事件も消える...田辺三菱製薬になったミドリ十字の教訓
社名が消えると事件も消える。そう考えるのは私だけではないだろう。薬害エイズ事件のミドリ十字という会社は、現在、田辺三菱製薬となっている。吸収されたわけだが、忘れてはならないあの事件で、元社長の松下廉…
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「社畜」というコトバを作った荒井伸也のスーパーマーケット論
「社畜」というコトバをつくったのは私のように誤解されているが、私ではない。東大法学部を出て住友商事に入り、飽き足らずにサミットストアに移って、のちに社長になった荒井伸也である。荒井は安土敏という筆名で…
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安藤ハザマに吸収された旧間組の新東宮御所造営工事1万円落札事件
安藤建設を吸収合併したこの会社、つまり旧間組で忘れられないのは、1958年に新東宮御所造営工事に1万円で応じたことである。 当時の皇太子(現上皇后)妃に決定した現上皇の人気で、”ミッチー・ブ…
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セイコーエプソンはなぜフロンガスをやめられたのか
郷里の山形県酒田市の東京同窓会の会報が送られてきた。頼まれて「コロナと日米中関係」という一文を書いたからである。そこに「セイコーエプソン」中興の祖といわれる中村恒也が取り上げられている。もちろん、私…
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すかいらーく創業者の横川端は「外食産業は人材が勝負となる」と語った
コロナ禍で外食産業は厳しい状態に追い込まれている。ファミリーレストランのトップのすかいらーくグループも例外ではない。この会社は過労死問題を抱えていたが、それはどうなっているのだろうか。 「彼の…
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中村屋のカリーは「恋と革命の味」 そこに込められた“辛い意味”
元気がなくなると、新宿の中村屋に行ってカレーならぬカリーライスを食べる。「恋と革命の味」といわれるカリーである。 中村屋は最初、本郷の東大正門前にあった。1901年に相馬愛蔵、黒光夫妻がそこ…
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グリコ森永事件で森永製菓を批判した森下仁丹の森下泰社長
グリコ森永事件を追った岩瀬達哉の『キツネ目 グリコ森永事件全真相』(講談社)を読んでいて、参議院議員で森下仁丹社長だった森下泰の次の発言に猛烈に腹が立った。 1984年12月28日、TBSの…
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日本経済新聞で2003年に起きた社長解任クーデター
「株式会社・日本」の”社内報”と私がヤユする日本経済新聞社で、社長解任クーデターという反逆の狼煙があがったのは2003年だった。日本新聞協会賞を受賞した敏腕記者で現役の部長だった大塚将司が内部告発をし…
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トヨタのパワハラ自殺和解で三菱重工加用事件を思い出す
東大大学院を修了して2015年にトヨタ自動車に入った男性が2年後に上司のパワハラで自殺した件で遺族とトヨタが和解したという記事が各紙に出ていた。それを読んで三菱重工の加用事件を思い出した。 …
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それでもフジサンケイグループに居座り続ける日枝久
フジテレビの外資規制違反は、他社だったら、もっと激しく非難されただろう。まだ実力者として君臨する日枝久は前首相の安倍晋三に最も近い経営者だった。それで、当局とかからの追及の矛先が鈍ったと思わざるを得…
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片山善博や国谷裕子を取締役に入れる日本郵船の気風
日本の会社が海外に進出する際のパイオニアとなったのが物産(三井物産)、正金(横浜正金、のちの東京銀行)、そして日本郵船だった。商社と為替銀行と海運会社である。 三菱の始祖、岩崎彌太郎が創った…
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昔はリクルートで食べている物書きがたくさんいた
大西康之著の『起業の天才!』(東洋経済新報社)が話題になっている。副題が「江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男」。 この中に1994年7月、リクルートが出資した金融決済システムのベンチ…
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「80歳まで雇用する」と宣言した家電量販ノジマ社長
静岡県には静岡銀行とスルガ銀行という地方銀行がある。堅実経営で知られる静銀はシブ銀と言われ、かぼちゃの馬車で問題になったスルガ銀行にはズル銀という別称があったらしい。シブ銀はその渋さで残ったが、冒険…