佐高信「この国の会社」
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小糸製作所株の買い占めでトヨタにケンカを売った男の言い分
この国にはKEIRETSUと横文字にもなっている系列会社の問題がある。清水一行はそのものズバリの『系列』(角川文庫)で、日産自動車と市光工業らしい関係をモデルにこれを描いている。 「東京自動車…
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原子力の平和利用に惑わされなかった「保険人」品川正治
この国の大企業の経営者で私と話の合う人はほとんどいない。しかし、日本火災(現損保ジャパン)の社長、会長を歴任した品川正治はその稀なる1人だった。 品川が経済同友会の副代表幹事兼専務理事だった…
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大阪府と包括協定を結んだ「読売新聞」ナベツネの特権論
大阪府と連携して、いよいよ新聞であることをやめた読売新聞が同じく権力べったりの産経新聞を買収するのではないかという噂が流れているらしい。読売に身売りするわけだが、すでに政権に身を売っているのだから、…
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米国で生き抜いた「ベニハナ」 ロッキー青木はなぜ冒険するのか
今回は、「この国の会社」ではなく、「この国の人間」がアメリカにつくった店のことを書く。「ベニハナ・オブ・トーキョー」である。この会社はアメリカだけでなく、イギリスやカナダにも進出した。創業したのはロ…
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まさに「老害」…“社長キラー”と呼ばれた旭化成の宮崎輝
前回は反バブルの正の遺伝子は受け継がれているかと問うたが、今回は負のそれが断たれているかと尋ねたい。 この会社で長く社長の座を占め続けた宮崎輝は“社長キラー”と言われた。会長になってもその座…
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財テクに走らなかった硬骨漢 住友電工の川上哲郎に関経連はイヤガラセをした
「電線首位」のこの会社では会長だった川上哲郎を思い出す。川上は城山三郎と一橋大同期で骨のある経営者だった。 「財テクをしない経営者は化石人間だ」と主張した長谷川慶太郎などに煽られて、多くの経営者…
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八丁味噌のGI登録問題の異常さ 地元で名前が取り沙汰されている自民党有力政治家A
逆さまなことが認められようとしている。 愛知県岡崎市の「八丁味噌」の元祖が、その名を名乗れなくなりそうなのである。 農林水産省が地域の特定農林水産物を保護するために始めた「地理的表示…
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住軽アルミ建設強行で勃発した「住友角福戦争」の愚かさ
1982年に解散した住軽アルミのことを語りたい。とりわけ、この国では「資本の論理」の外で、会社がつくられたり、消えたりすることがあるからである。 住友グループに”住友の飛車と角”といわれたラ…
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亡くなった明治乳業社員の妻が中山悠会長に宛てた手紙に書かれていたこと
2009年に明治製菓と明治乳業が統合した明治ホールディングスが、健康意識が高まってヨーグルト類の売り上げを伸ばしていると知って、2004年春に明治乳業会長の中山悠への手紙という形でコラムを書いたこと…
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ミサワホーム合併事件でトヨタの奥田碩をグサリと刺した三澤千代治
私が経済誌にいた1980年代からの知り合いの三澤千代治はミサワホームの創業者で、「履歴書に失敗欄がほしい」などというユニークな経営者だった。だからミサワホームは辛口と言われる私がほめる数少ない会社だ…
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美々卯の薩摩社長は労働組合が嫌いだから東京美々卯を潰したのか
東京は京橋にあった東京美々卯が閉鎖になり、この解散が労働組合を嫌う美々卯(社長、薩摩和男)によるスラップ訴訟であるかどうかが争われている。 うどんすきの東京美々卯には何度か行ったが、大阪から…
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「お尻だって洗ってほしい」TOTOは日本人のライフスタイルを変えた
私は「痔持ち」である。持病の痔病などと言っているが、笑えないほど苦しくなることもある。切ってしまえばいいと言う人もいるが、そう簡単ではない。 同じく痔で悩んでいたのが、作家の小島直記だった。…
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”企業再建の神様”早川種三をDHCの吉田嘉明は理解できるのか
会長の吉田嘉明がヘイトスピーチをまきちらすDHCがまだ存続していることが私には理解できない。 吉田は2016年2月の「会長メッセージ」で、政府に批判的な言動をする在日コリアンを「似非日本人」…
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グーグルにも”勝利” イーパーセル社長の北野譲治が師とした「政界の黒幕」
のちに高杉良著『雨にも負けず』(角川文庫)のモデルとなるイーパーセル代表取締役社長の北野譲治と会ったのは元首相、村山富市の紹介だった。 北野とは公的には『俳句界』の2018年4月号で対談した…
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中国人強制労働で自ら和解し謝罪した三菱マテリアルの珍しさ
一時はかなり親交のあった元『日経ビジネス』編集長の永野健二の『経営者』(新潮文庫)は後味の悪い臭みの残る本である。 ■鎌田慧を批判した永野健二 戦後復興の時代の運輸大臣の永野護が祖父で…
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自民党を応援しながら護憲を唱えた平田牧場創業者・新田嘉一の企業家精神
同郷の身びいきで言うわけではないが、山形県酒田市が本拠の平田牧場の創業者、新田嘉一は企業家精神に満ちている。冒険性、社会性といった企業の原点を新田は教える。 平田牧場の三元豚はコメを食う豚と…
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ソビエトも驚いたブリヂストンの経営理念 地下足袋で訴訟も
オリンピックもすでに忘れられた感じになっているが、開会式にトヨタやパナソニックと共に国内最高位のスポンサーであるブリヂストンの関係者が出席をとりやめたのは1つの見識だった。同調圧力の極めて強いこの国…
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ジョニー・デップ主演の映画『MINAMATA』で描かれるチッソの今
ジョニー・デップが写真家のユージン・スミスを演じた映画『MINAMATA』を見た。チッソが有機水銀を垂れ流し続けてきたのをユージンは写真に撮り、それを妨害しようとしたチッソから暴行を受けたわけだが、…
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球団経営から見たソフトバンクと巨人の違い 孫正義という異端の経営者
中川右介著『プロ野球「経営」全史』(日本実業出版社)が届いた。「球団オーナー55社の興亡」が副題で、オビに「鉄道、新聞、映画からITへ」とある。「オーナー企業の変遷でわかるプロ野球と日本経済」を謳う…
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サンリオ社長が中国の首相に説明した「キティちゃん」の3つの特徴とは
中国を攻撃することが経済安保だなどとバカなことを言うやからが増えているが、2010年の春に、中国の首相、温家宝が来日し、作家の辻井喬や演出家の浅利慶太らを招いて座談会を行った。その中で異彩を放ったの…