検察vs政界 経済事件記者の検証記
-
【東京佐川急便事件】異聞(46)バブル時代の象徴のような大手百貨店の秘書課長
平和堂不動産社長にその不動産ブローカーを引き合わせたのが大手百貨店の秘書課長だった。特捜部が「誠備」グループ代表の加藤暠への東京佐川からの100億円の融資話を平和堂不動産社長に持ちかけたと認定した人…
-
【東京佐川急便事件】異聞(45)富士銀不正融資事件主犯の元支店課長に潜伏中のホテルでインタビュー
富士銀行の不正融資事件は東海銀行にも飛び火した。富士銀赤坂支店で発覚したのと同様の手口の不正融資は東海銀秋葉原支店でも行われていた。警視庁は同支店元支店長代理を詐欺容疑で逮捕。引き出されたカネの一部…
-
【東京佐川急便事件】異聞(44)関係者を取材すると自然と東京佐川急便事件につながった
ここで、検察の捜査記録を離れ、取材メモなどをもとに当時の経済事件取材を振り返る。 東京地検特捜部や警視庁捜査2課.4課が捜査する経済事件の取材・報道は、当局をカバーする司法記者クラブや警視庁…
-
【東京佐川急便事件】異聞(43)「日本皇民党事件」で当時報じられた断片情報
東京佐川急便に検察や警察の捜査のメスが入れば、4年前に起きた「日本皇民党事件」の舞台裏の事情も明らかになる──。記者たちの関心が高まるなか、この問題が国会でも取り上げられた。 1991年9月…
-
【東京佐川急便事件】異聞(42)東京佐川のスキャンダルで再浮上した日本皇民党ほめ殺し事件
話を1991年夏に戻す。東京佐川急便社長の渡辺広康らの解任、特別背任容疑での告訴を受け、その4年前に起きた、ある「事件」に捜査筋や記者の関心が集まった。 自民党幹事長の竹下登、総務会長の安倍…
-
【東京佐川急便事件】異聞(41)本州製紙株仕手戦の捜査は証拠不十分で断念
ちなみに、東京地検特捜部はこの本州製紙株の仕手戦について、シンガポールの実業家が仕手筋側と締結したと発表した株の買い取り権(オプション)契約が虚偽だったとの疑いを強め捜査していた。 オプショ…
-
【東京佐川急便事件】異聞(40)本州製紙株の仕手戦に投資集中も…株価暴落、逼迫する資金繰り
「誠備グループ」代表の加藤暠が行う仕手戦に乗って株取引をし、巨額の利益を上げるしかないと判断した東京佐川社長の渡辺広康と側近の平和堂不動産社長。 捜査記録によると、加藤は1989年12月20日…
-
【東京佐川急便事件】異聞(39)「加藤の仕手に乗るからには、勝ち組の5人の中に入れ」
佐川急便グループでは、会長の佐川清の命で1989年1月、グループ内での株取引が一切禁止された。東京佐川社長の渡辺広康は東京佐川本体での株取引をできなくなり、「自由に使える金」の調達を、側近の平和堂不…
-
【東京佐川急便事件】異聞(38)バブル最盛期なのに株も土地取引もことごとく失敗
バブルの最盛期。株、土地とも右肩上がりの時期だったが、東京佐川急便社長の渡辺広康の側近である平和堂不動産社長の株式、不動産取引はことごとく失敗した。 捜査記録によると、平和堂不動産社長は19…
-
【東京佐川急便事件】異聞(37)「株の運用を本格的にやってみないか」渡辺広康社長は裏金づくりを企図
東京佐川急便社長・渡辺広康の社外の側近となった平和堂不動産社長。捜査記録によると、2人をつないだのは、くだんの株ブローカーだった。その事務所に出入りしていた平和堂不動産社長は、ブローカーから渡辺の豊…
-
【東京佐川急便事件】異聞(36)特捜部は「平和堂グループ」への債務保証解明に注力
東京地検特捜部は、東京佐川急便社長・渡辺広康と側近の平和堂不動産社長が関わった仕手戦を含む株取引はより根が深いと見ていた。金丸信ら有力政治家に太いパイプを持つ渡辺が、政界資金を捻出するため側近の社長…
-
【東京佐川急便事件】異聞(35)90年の株価暴落がトドメに 与えられた損害は550億円
仕手戦を含む株取引に失敗し、それが佐川清にも露見した東京佐川急便。困り果てた経理課長のOは常務のSに対し大胆な提案をする。 「東京佐川からダミー会社に200億円貸し付けて市場外で東京佐川の不良…
-
【東京佐川急便事件】異聞(34)東京佐川は仕手戦に失敗、100億円以上の含み損を抱えた
経理課長のOが主導して大規模な株の仕手戦にのめり込んだ東京佐川急便。Oはこれらの仕手株の売り抜けに失敗し、東京佐川は大量の不良株を抱えた。 捜査記録によると、1988年末時点で仕手株を含めた…
-
【東京佐川急便事件】異聞(33)東京佐川の財テク資金は、88年末には500億円にまで膨らんだ
東京地検特捜部は警視庁捜査4課と捜査の分担を決める。東京佐川急便の保証債務先約40社のうち、稲川会関連企業がかかわる「稲川会ルート」は同課に委ね、特捜部は東京佐川社長の渡辺広康と側近である平和堂不動…
-
【東京佐川急便事件】異聞(32)検察の警察不信。原因は「金の茶釜」?
政界や地下社会に巨額資金を垂れ流した疑いがもたれた東京佐川急便。トップの経営をめぐる刑事責任を追及し贈収賄など他の犯罪の有無を確認するには、まず商法の特別背任容疑でトップらの身柄を押さえ、経理捜査で…
-
【東京佐川急便事件】異聞(31)詐欺罪と特別背任罪で捜査方針が割れた4課と地検特捜部
1991年7月下旬、京都の佐川邸で行われた取材。佐川グループ総帥の佐川清は政界コネクションについても雄弁に語り、与野党の政治家の名前を次々に挙げた。東京佐川急便社長の渡辺広康が佐川に代わって数年前か…
-
【東京佐川急便事件】異聞(30)「右腕一本落とすような話だ」佐川清は堰を切ったように渡辺批判を始めた
筆者は、佐川清にも一度だけ取材している。 週刊朝日の山本朋史記者から、京都で佐川清に会えることになった、一緒に取材に行かないか、と誘われたのは1991年7月中旬のことだった。山本は知る人ぞ知…
-
【東京佐川急便事件】異聞(29)渡辺広康と佐川清の本当の関係
渡辺広康と並ぶもう一人のキーマンが佐川グループ会長の佐川清だった。 新潟県板倉村生まれ。建設業などを経て1957年、妻と2人で自転車2台を使い、京都-大阪間で小口の荷物を配達する「飛脚業」を…
-
【東京佐川急便事件】異聞(28)渡辺広康社長に稲川会会長との関係を問いただす
渡辺広康名義で1989年中に大量の東急電鉄株が売買され、17億円の儲けが出ていた。その経緯を本人に尋ねると、「あれは石井さん側が私の名義を使ってやったことで……。うちはまったく無関係。野村証券から売…
-
【東京佐川急便事件】異聞(27)「銀座の夜の帝王」渡辺広康社長はジャンパー姿で現れた
解任される前の渡辺広康に一度だけ面談で取材をしたことがある。1991年6月28日のことだ。 先の金融ブローカーが仲介してくれた。特捜部が、北祥産業など石井関連の債務の一部約40億円分を偽装譲…