著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

中国で流行中のヒトメタニューモウイルス感染症…治療薬がなく感染対策が重要

公開日: 更新日:

 WHO(世界保健機関)は1月7日、北半球での呼吸器系の感染症の流行に関する報告を公表し、熱や咳などの症状が出る「ヒトメタニューモウイルス感染症」について、「中国の発表データでは、ここ数週間の間に急性の呼吸器感染症が増加し、特に北部でヒトメタニューモウイルスなどの感染者数が増えている」と指摘しました。一方で「感染者数の増加は、北半球の冬のこの時季に想定される範囲内だ」として、今後も中国当局と協力して監視を続けるとしています。

 ヒトメタニューモウイルスは、2001年にオランダの研究者が発見し、最近知られるようになったパラミクソウイルス科に属するウイルスです。新しく発見されたウイルスなのですが、欧米や日本における血清抗体調査の結果では10歳以上の抗体保有率はほぼ100%となっており、多くのヒトが乳幼児期に初感染を受けていると考えられます。

 咳や発熱、鼻水など風邪のような症状を引き起こすウイルスで、国内でも一年を通じて患者が報告されています。ほとんどの場合、症状は軽く、安静にしていれば1週間ほどで回復しますが、幼い子供や高齢者などが感染すると、まれに重症化して肺炎などを引き起こすことがあるので注意が必要です。

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