著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

「リンゴ病」が急速に流行中…治療薬はなく妊婦はとりわけ注意

公開日: 更新日:

 2019年を最後に流行が確認されていなかった「伝染性紅斑」が急増しています。伝染性紅斑は小児を中心に見られるヒトパルボウイルスB19による流行性の感染症です。両頬がリンゴのように赤くなることから「リンゴ病」と呼ばれることもあります。

 10~20日の潜伏期間の後に微熱や風邪症状などが見られ、その後、両頬に赤い紅斑が現れます。

 多くの場合、これらの紅斑は1週間程度で治まるのですが、成人では関節痛を伴う関節炎や頭痛などの症状が出るケースもあります。

 中でも大きな問題となるのは妊婦の感染です。これまで伝染性紅斑にかかったことのない女性が妊娠中に感染した場合、胎児にも感染し、胎児水腫などの重篤な状態や、流産のリスクになる可能性があるのです。

 伝染性紅斑は4~5年周期で流行し、最近では15年、19年に流行がありました。24年第48週(11月25日~12月1日)の定点当たり報告数は0.89、第49週(12月2~8日)では0.92と、直近で流行した19年のピークだった定点当たり1.00に近づいています。

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