土用の丑の日に「環境」を考える編
今年の夏の土用丑の日は7月29日。しかし、ニホンウナギが絶滅危惧種に指定され、もうウナギを食すことができなくなるのではと不安になってくる。環境破壊や動植物の絶滅はもはや他人事ではなく、我々の生活に直結した問題と認識する時が来ている。今回は、日本人の好物であるウナギをはじめ、絶滅が危惧される生き物たちや環境について学べる4冊を紹介する。
2010年にヨーロッパウナギが絶滅危惧種とされたことに続き、今年ニホンウナギも絶滅危惧種とされるに至った。この責任の一端は、世界で捕獲、あるいは養殖されているウナギの、実に7割を胃袋に収めている日本人にもあるかもしれない。
筒井功著「ウナギと日本人」(河出書房新社 1600円)では、日本人の食文化とは切っても切れないウナギについて、その生態や養殖の歴史などをひもといていく。
日本でのウナギ養殖元年は明治12年。「鮒屋」という名でスッポンの養殖業を営んでいた服部家が、市場規模の小さいスッポンに代わり、ウナギのクロコ(箸くらいの大きさの子ウナギ)を池に放して養殖を開始したのが始まりだという。やがて、ウナギの養殖は静岡・愛知両県を中心に発展するが、ウナギの消費量の増加とともに、大正時代にはクロコ不足が顕著となる。