土用の丑の日に「環境」を考える編
■「ねずみに支配された島」ウィリアム・ソウルゼンバーグ著 野中香方子訳
アラスカの西に位置するキスカ島。第2次世界大戦中、日米の戦いが行われたこの島で、今なお続いている戦いがある。原因となったのは、戦時中に軍艦から島に上陸した数匹のネズミ。島という閉鎖された空間に解き放たれた外来生物が、「エトロフウミスズメ」などの島固有の生物に襲いかかり、絶滅の危機に追い込んでいるのだ。
そして今、自然保護のスペシャリストたちは、本来の生態系を取り戻すべく毒餌をまいてネズミを“殺戮”しようとしている。ニュージーランドの飛べないオウム「カカポ」や、カリフォルニア沖アナカパ島の「ウミスズメ」など絶滅の危機に瀕している動物たちと、外来生物を駆除しようとする人間の行いを通じ、自然保護の意義を問うノンフィクション。
(文藝春秋 1800円)
■「植物は人類最強の相棒である」田中修著
ポンカンと清見オレンジの交配で生まれた「デコポン」や、巨峰とマスカットを両親に持つ「ピオーネ」、そしてダイコンにキャベツを“接ぎ木”して誕生した「キャベコン」など、植物の持つ適応力の強さを利用し、人間は多くの品種改良を行ってきた。