「日本の地震地図」岡田義光著
甚大な被害をもたらした東日本大震災から3年が過ぎ、あの日のことを忘れ始めている人もいるのではないだろうか。しかし、今世紀中の発生が確実視される南海トラフ巨大地震をはじめ、日本は常に地震の脅威と隣り合わせの状況だ。
岡田義光著「日本の地震地図」(東京書籍 1700円)には、最新の調査データをもとに各地で起こる地震の仕組みや被害想定がまとめられている。
東海から四国にかけての太平洋側沖合100~200キロの海底に位置する、溝状の地形である南海トラフ。100~200年間隔で東海地震や南海地震などの巨大地震が起きてきたのも、この地形によるものだ。しかし、静岡県駿河湾沖の領域では、1854年以降大きな地震が起きていない。そのため、1976年に、近い将来のM8クラスの巨大地震の危険が警告された。
ところが、それが起こらないまま40年近くが経過し、高知県足摺岬沖や和歌山県潮岬沖など他の危険領域でも、地形のひずみエネルギーの蓄積が進んだ。これは、次に起こる巨大地震が、南海トラフ全域に連動して起こる可能性を示唆しているという。M8・8と想定されている地震規模も、M9・1にまで跳ね上がると考えられている。