「期限切れのおにぎり」鈴木哲夫氏
現場主義に徹する。それが過去の大災害に学ぶ危機管理の教訓です
「ひとことで言えば、危機管理の基本は『現場主義』に徹することです。法律や制度やしがらみなどは一切無視してでも、すべて『現場』の判断に任せるというのが、大災害で危機管理に直面したトップたちの共通の教訓です。政府はそういう体制をつくり、現場で決めたことは全面的に支持して実行することが大事です。その意味では、今月14日に発生した熊本地震に際して、過去の教訓がどれだけ生かされているかは大いに疑問ですね」
世界でも有数の地震国・日本。過去、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災で政府や被災地で対応に当たった関係者、たとえば、石原信雄元官房副長官、村山富市元首相、森民夫長岡市長、久保信保元消防庁長官、村井嘉浩宮城県知事、小泉進次郎前復興政務官らが、自らの失敗、反省、教訓を語り、東日本大震災から5年の節目に本書がまとまった。その直後に今回の熊本地震が起きた。
「過去の教訓に照らしていえば、政府はまだまだやれることはありますね。例えば『現場主義』について言えば、現地に安倍首相の分身というか副総理格の政治家を派遣して、しばらく常駐させる。そして安倍さんは、『現地のことはすべて現地で決めていい。責任は取る。必要ならオーバールールでいい』という二人三脚の体制が望ましいと思います」