幸せとは何なのか? 多彩な角度から説く“幸福本”特集

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 書店に行けば、「幸せになる」ノウハウ本がずらりと並んでいる。一体、幸せとは何なのか。万人が納得する幸せはあるのだろうか。経済学、心理学、組織論など多彩な角度から説く「幸福論」を集めてみた。

 格差社会だ、少子高齢化だと叫ばれて久しいが、そんな日本で一体どうすれば幸せになれるのか。

 橘木俊詔著「新しい幸福論」(岩波書店 820円+税)では、生きにくくなった社会的背景を分析しながら、豊かさを手放すことなく、どういう姿勢で人生に臨めばよいかを探った一冊。

 現在、日本社会は急速な少子高齢化で労働力が不足し、家計の需要は減少。経済成長率はマイナスにならざるを得ないが、安倍内閣は「1億総活躍社会」をうたい、働けとあおっている。

 しかし、仮に経済成長率が高くなったとしても、その果実を享受できるのはごく一部の人。資本主義社会における株式会社制度を前提にしている日本では、大量に株を保有する経営者らが潤うだけで、格差はますます広がっていく。人々の幸福度(生活の満足度)も経済成長があった1980年から2005年にかけて低下を続けており、もはや経済成長イコール幸せでないことは明らかだ。

 人々が幸せを感じないにもかかわらず、さらなる経済成長を求めることはムダではないのか。心豊かな生活を送るため、これから日本が目指すべきは、国民全体が経済的に生活が保証されていることを前提とした成熟経済、ヨーロッパ型福祉国家ではないか、と著者は提起する。

 その実現には東京一極集中をやめること、長時間労働をやめる決心をし、一方で余暇を重視すること。家族や愛情を抱く人と一緒にいる時間を持つこと、他人を支援することなど、社会を構成する人々の意識改革も必要だという。特に自分の好きなことに全精力を注ぐ時間があれば他人との比較をしている暇はない。他人が自分を評価しているかも気にならず、本人の幸福度は確実に高まるそうだ。

 また心の豊かさと同時に経済的豊かさを確保するには1人当たりの労働生産性を高めるしかなく、学校教育のさらなる向上や技能訓練の徹底化など時間をかけてボトムアップをしなければならない。

「新しい幸福」のためには、決心する勇気が必要なのだ。

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