「これからの死に方 葬送はどこまで自由か」橳島次郎著
生命倫理の専門家が、社会の変化とともに多様化する日本人の葬送について考察したテキスト。
かつては、親族と近隣による共同体的人間関係が死を送る習俗を担っていたが、業者に任せるようになり、古い習俗は簡略化され、現在の慣習的な葬式が定着した。90年代になると火葬され墓に入るという一般化した葬法に疑問を抱き、海や山への散骨などの自然葬を求める活動が始まり、これらが市民権を得るようになった。
一方で、現在も土葬は可能なのかとか、堆肥となって自然にかえるフリーズドライ葬などの新しい弔い方も紹介。安楽死といった死の迎え方から葬送の方法まで、現代人はどこまで死に関して自由が認められるのかを論じていく。(平凡社 760円+税)