「鴨長明-自由のこころ」鈴木貞美著

公開日: 更新日:

 東日本大震災の折、多くの人が再び「方丈記」を手にしたという。本書は、その方丈記と歌論書「無名抄」、そして仏教にまつわる伝承を編んだ「発心集」の3作を読み解きながら、著者である鴨長明の謎に包まれた実像に迫り、その世界観が現代人の心に響く理由を考察する古典読み物。

 京都・賀茂御祖神社(下鴨神社)の神職の子として生まれた鴨長明は、父方の祖母の家を継ぐため家を出て琵琶と和歌の道に進む。神職の道を早々に断念、そして継ぐはずだった祖母の家も出た鴨長明は、50歳近くになって、新古今和歌集編纂の動きの中で一躍歌人として認められる。その生い立ちまでさかのぼり、「数寄」の心や独自の仏教思想がどのように培われたのかを探る。(筑摩書房 860円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動