空前の登山ブームに「山ご飯本特集」
「バテない体をつくる登山食」大森義彦著
空前の登山ブームは中高年から若い女性へと伝播。今や彼女たちは「山ガール」や「山女」などと呼ばれ、シーズンともなれば日本中の山が華やぐ。女性たちが主役のブームのそばには、おいしいものがつきもの。そこで今週は、山登りブームとともに注目が集まる「登山食」に関する本を集めてみた。もちろん山好き男子も必見。
絶景のなかで食べたいからという気持ちも分かるが、好物を手当たり次第にリュックに詰め込めば、それは重さとなって、体に襲い掛かってくる。重さのほかにも、登山に向き不向き、調理の問題など、登山食にはさまざまな制約がある。
一方で、食事を軽視してエネルギーを補給しないまま登山を続ければ「シャリバテ」を起こす。シャリバテとは登山用語で、エネルギーが不足してバテてしまうこと。シャリバテを避けるために、登山中は、3食にプラスしてこまめにエネルギー補給ができるよう「行動食」と呼ばれるおやつを取る必要もある。そうしたあれこれを考えると、登山中に何を食べるかという「食料計画」を考えるのが憂鬱になるという人もいるそうだ。
本書は、山で食べたいものを食べたいように食べるという、簡単なようで簡単でない難問を解決するための知恵と情報が詰まったテキストブック。
まずは、登山に必要な栄養についての基礎知識を解説。その上で、食材を腐敗させずに保存、運搬するテクニックや、数ある中から登山食に向いている食材とその活用法、そして昔から山男らに愛用されていた登山食の定番「ぺミカン」のつくり方などを紹介。
さらに、クッカーやストーブなど調理道具の選び方や、登山食向き各種おにぎりやサンドイッチをはじめ、「さんまのかば焼き缶を利用した炊き込みご飯」や「お麩のフレンチトースト風」などの現地で調理するためのレシピ40種も収録。他にもキノコや山菜など山の恵みを登山食に取り入れる方法など、山登りが一層楽しくなる登山食の知識を学ぶ。(誠文堂新光社 1800円+税)