「平成批評」福田和也著
平成の時代はとにかく責任感のない人、幼稚な人が増えたという。
たとえば巨額の不良債権を出した住専問題。6850億円の公的資金を投入してまで延命させたが、実は住専は当時の大蔵省の天下り先で、官僚のポスト保持のために守ったのが実情だった。
先日の「毎月勤労統計」の不正では、誰もが「忙しかったから」という答えに終始する体たらく。
こうした目の前の利益や自己保身を考える幼稚さは、敗戦後、国家や民族のために死ぬことは最もくだらないと繰り返し語られ、やがて国への献身や誇りをなくしたことが遠因と指摘する。
幕末に始まった近代化から、現在に至る政治や大衆文化を通じて、日本人の思想と平成を読み解く。
(KADOKAWA 860円+税)