「京都祇園もも吉庵のあまから帖」志賀内泰弘著

公開日: 更新日:

 京都の個人タクシーの運転手・美都子は、元ナンバーワン芸妓。美しさ、そして踊りでも祇園一との評判だったが、元芸妓の母親・もも吉との口論がきっかけで、転職してしまったのだ。同時に、もも吉も営んでいたお茶屋を畳み、一見さんお断りの甘味処「もも吉庵」の女将に収まってしまった。

 ある日、東京からの客を「縁切り縁結び」で有名な安井金比羅宮へ案内した美都子は、参拝を待つ行列の中に見覚えのある顔を見つける。「仕込みさん」と呼ばれる、舞妓修業中の奈々江だった。今は「都をどり」の最中で祇園が最も忙しい時期であり、見かねた美都子は叱りつけてしまうが、後味が悪い。(「桜舞う 都をどりのせつなくて」)

 祇園を舞台にしたハートウオーミングな連作集。

(PHP研究所 700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省は「品質管理徹底」と言うが…新たに放出の備蓄米「古古米」「古古古米」はおいしいのか?

  2. 2

    松山千春だけじゃない“黒い交際”が切れない芸能人たち…組長の誕生日会やゴルフコンペに堂々参加の過去

  3. 3

    中居正広氏だけが破った「SMAPの掟」…元女性アナへの“性加害”認定の泥仕合を招いたものとは

  4. 4

    回復しない日本人の海外旅行…出入国数はGWもふるわず、コロナ禍前の半分に

  5. 5

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  1. 6

    田中圭にくすぶり続ける「離婚危機」の噂…妻さくらの“監視下”で6月も舞台にドラマと主演が続くが

  2. 7

    「リースバック」で騙される高齢者続出の深刻…家を追い出されるケースも

  3. 8

    世界卓球男子ダブルス 64年ぶり金メダルのウラに“大魔王”引き立てた「ミスターダブルス」

  4. 9

    星野源が新作アルバム宣伝ポスターで“炎上”騒ぎ…「孤独はなくならない」発言で心配な新垣結衣との夫婦関係

  5. 10

    備蓄米狂騒で進次郎農相ハイテンションだが…早くも剥がれた「弱者イジメ」の化けの皮