「京都の謎」<伝説編>高野澄著
京都の名所にまつわる伝説を手掛かりに、歴史の真相に迫る歴史読み物。
三十三間堂の始まりは、後白河法皇を悩ました頭痛にあるという。前世、紀伊・熊野権現の行者だった法皇は、死後、葬られないままドクロとなり、そのドクロを貫いて生えた柳が大木となった。法皇の頭痛は風で柳の木が揺れるからだという話がまことしやかに伝えられていた。常軌を逸するほど熊野参詣を重ねた法皇は、院の御所の鎮守として熊野権現の祭神を勧請。それが現在、三十三間堂の南にある新熊野神社だ。そして完成した広大な院の御所「法住寺殿」の仏堂として建てられたのが三十三間堂だという。
他にも秀吉が死の直前に花見をした「醍醐寺」など13スポットを取り上げ、歴史を掘り下げる。
(祥伝社 840円+税)