「京都迷宮小路」浅田次郎ほか著

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 一代でファッションメーカーを築き上げた村井は、ある夜、京都・東山の料亭で取引先の百貨店幹部を接待。その帰り道、秘書とタクシーに乗った村井は、雨の中、祇園石段下で誰かを待っているような浴衣姿の女性を見かける。

 その途端、村井の脳裏に長らく忘れていた志乃という名前が蘇る。志乃は学生時代に京都で暮らした村井の恋人で、30年前、村井は石段下での彼女との待ち合わせをすっぽかしたことがあったのだ。たとえ話にごまかして女性秘書の木内に過去の顛末を明かすと、彼女は石段下で「女の念」が今も待ち続けているのではないかという。(浅田次郎著「待つ女」)

 人気作家7人の京都を舞台にしたミステリーを編んだアンソロジー。

(朝日新聞出版 880円+税)

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