「雨降り」「昼飯」「浮気」など全国の“珍地名”を紹介

公開日: 更新日:

 東京都の西多摩郡、奥多摩駅からバスで30分ほどの山奥には、非常に珍しい地名がある。その名は「雨降り」。かつてこの地には雨が降らず、雨乞いのために滝にお札を漬けたところ雨が降り出し、その滝を「雨降り滝」と呼んだことに由来しているという。このように、日本各地には数多くのおもしろ地名が存在する。

 今尾恵介著「ふらり珍地名の旅」(筑摩書房 1500円+税)では、珍地名の場所に赴き、地元民にも話を聞きながら、地名の謎に迫っている。

 愛知県豊明市、名古屋鉄道名古屋本線の駅名にもある珍地名が、「前後」だ。この辺りは1560年に桶狭間の戦いがあった場所。戦の際に、敗れた兵の首が前後至るところに転がっていたためにこの地名となったと伝えられている。

 岐阜県大垣市の旧中山道には、「昼飯」という地名がある。信州善光寺本尊が難波から信濃へ移る際に奉持者が昼食をとった場所、あるいは弘法大師が昼食をとった場所などの説があるという。大きな街道ならではの地名だ。

 滋賀県守山市には、何とも穏やかでない地名がある。それは「浮気」。東海道本線の守山駅前に位置しており、通りを進んでいくと浮気交差点に差し掛かり、浮気郵便局、浮気保育園、そして浮気自治会館などが見えてくる。“浮気を自治”とは意外性があるが、実はこの地名は“うわき”ではなく“ふけ”と読む。

 かつてこの地には益須川の伏流水が泉を湧かせており、水蒸気が光に映えて漂う美しいさまが「紫気天に浮かびて雲間に動かず」とうたわれていたという。

“ふけ”とは水の豊かな場所という意味を持ち、浮気の文字は後に当て字で付けられたと考えられるという。

 全国の珍地名は、地図をじっくりと見れば誰でも見つけることができる。珍地名を巡る旅というのもおもしろそうだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  3. 3

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  4. 4

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  5. 5

    (5)「名古屋-品川」開通は2040年代半ば…「大阪延伸」は今世紀絶望

  1. 6

    「好感度ギャップ」がアダとなった永野芽郁、国分太一、チョコプラ松尾…“いい人”ほど何かを起こした時は激しく燃え上がる

  2. 7

    衆院定数削減の効果はせいぜい50億円…「そんなことより」自民党の内部留保210億円の衝撃!

  3. 8

    『サン!シャイン』終了は佐々木恭子アナにも責任が…フジ騒動で株を上げた大ベテランが“不評”のワケ

  4. 9

    ウエルシアとツルハが経営統合…親会社イオンの狙いは“グローバルドラッグチェーン”の実現か?

  5. 10

    今井達也の希望をクリアするメジャー5球団の名前は…大谷ドジャースは真っ先に“対象外"