「一汁一菜でよいと至るまで」土井善晴著
料理研究家の著者は定説に逆らい、あえて一汁一菜を提唱し話題となった。その背景には、レストランで食べるようなごちそうを家でも食べたいという過剰な要求から、家庭料理が壊れていく現状に危機感を抱いたからだという。
これまでの人生を振り返りながら、一汁一菜を提唱するまでに至った道のりを記すエッセー。
1957年、料理研究家の両親の家に生まれた氏は、小学生のときには料理番組で講師を務める父親に同行していたという。そんな父の背中を見て育った少年期の思い出や、自らが料理研究家となる道のり、万を超えるレシピを考案してきた経験をつづる。その上で、家庭料理についてさらなる考察を深め、人間としての生き方につながる一汁一菜のすばらしさを説く。
(新潮社 902円)