「デジタル時代の恐竜学」河部壮一郎著
「デジタル時代の恐竜学」河部壮一郎著
2007年、福井県勝山市で発見された恐竜の化石は、長らく「ドロマエオサウルス類」と分類されていたが、著者の研究によって、新種の恐竜であることが明らかとなり、「フクイベナートル・パラドクサス」という学名を得た。その決め手となったのが、X線CTスキャナーを用いた恐竜化石の解析だった。
デジタル技術を用いることで、かつてはうかがい見ることが難しかった内部構造を鮮明に浮かび上がらせ、新たな発見につながったという。
ほかにも、写真から3次元のデジタルデータを作るフォトグラメトリーと3Dプリンターを用いてイギリスにある恐竜骨格を移動させることなく日本で再現するプロジェクトなど、最新のデジタル機器を用いて化石に残された謎を読み解く恐竜学の最前線を紹介する。
(集英社インターナショナル 990円)