カツラかぶって試合に 小口雅之さんの波乱万丈ボクサー人生
■試合途中にカツラが浮いて…
作新学院高校1年のときからボクシングを始めた小口さんは、2000年10月、スーパーフェザー級でプロデビュー。これをKO勝ちで飾ると順調に白星を重ねていったが、05年12月の柴田大地戦で思わぬ“事故”に見舞われた。
「栃木の実家の父が脳梗塞で倒れたため、農業を継いで欲しいといわれ、この試合で引退するつもりでした。で、それまでの自分の試合の写真はハゲばかり写ってたので、最後くらいはフサフサの髪で写真に納まりたいと、初めてカツラをつけて試合に臨んだんです」
ところが、だ。
「2ラウンドでした。一瞬、頭の中に風が入った感じがして、カツラがフワッと浮いたんです。ヤバいと思いつつ3ラウンドになると、今度は相手のフックをもらうたび、カツラがパカパカと開いたり閉じたりするようになった。会場からは失笑が漏れるし、柴田だけじゃなく、頭上の敵とも闘わなくちゃならない。集中力がそがれるので、4ラウンド終了後、カツラを取ったところ、それからは自分のボクシングができ、7ラウンドTKO勝ちしました」