小池栄子主演「コタツがない家」(日本テレビ系)はホームコメディーの快作だ
久しぶりに登場した、目が離せないホームドラマだ。小池栄子主演「コタツがない家」(日本テレビ系)である。
主人公は敏腕ウエディングプランナーにして社長の深堀万里江(小池)。仕事面は完璧だが、家庭は問題山積だ。夫の悠作(吉岡秀隆)は廃業寸前の漫画家でヒモ状態。高校生の息子・順基(作間龍斗)はアイドルを目指して挫折中。そこに熟年離婚して家も失った万里江の父、達男(小林薫)が転がり込んできた。
主な舞台は深堀家のリビング。そこで繰り広げられる、万里江たち家族の笑える会話バトルこそ、このドラマ最大の魅力だ。
たとえば、達男の処遇をめぐるやりとり。悠作が達男の同居を警戒していることを万里江が指摘した。悠作は、かつて自分の母親との同居を拒んだと万里江を非難。すると達男が、この家の頭金を援助したのは自分だ、などと言い出す。すかさず万里江は「そういうところを母さんは嫌ったのよ」と応戦する。
家族の間とはいえ、十分リアルで際どい本音の応酬だ。しかし、そこには聞いていてつらくなるような重さや暗さはない。どこかカラッとしたユーモアが漂っている。
筋立てよりも人間描写でドラマを牽引していく、金子茂樹(「俺の話は長い」など)の脚本。小池たち俳優陣の軽妙かつ細やかな演技。両者がガップリ四つに組んだ、ホームコメディーの快作だ。