TBS「フェルマーの料理」一見かけ離れた“数学と料理”という2ジャンルの融合がキモ
金曜ドラマ「フェルマーの料理」(TBS系)は異色の料理ドラマだ。北田岳(高橋文哉)は数学の才能に恵まれた高校生。夢はフェルマーのような数学者になることだった。しかし、数学オリンピック選考会で自身の限界に気づき、挫折してしまう。
そこに現れたのが、カリスマシェフの朝倉海(志尊淳)だ。「おまえの数学的才能は料理のためにある」と言い、自分のレストランで働くチャンスを与える。数学と料理。一見かけ離れた2つのジャンルの融合こそが、この作品のキモだ。原作は小林有吾の同名漫画。岳には、数式の正誤が「分かる」ではなく、「見える」能力がある。それが料理に応用されていく。料理の出来上がりを数学における「答え」と捉え、そこから逆算して「式」というレシピを組み立てていくのだ。
しかも、そのプロセスの中に「発想の飛躍」につながりそうなヒントがあれば決して見逃さない。そうやって作られた第1話のナポリタンも、第2話の肉じゃがの魅力を凝縮したフィレ肉も、実にうまそうだった。
岳が求めているのは、いわば「官能的食感」だ。理想の「答え(料理)」があるなら、自分の「式(レシピ)」でどうたどり着くのか。まさに数学的思考の勝負となる。異能の新米料理人を全力で見せる高橋。謎のシェフを余裕で演じる志尊。こちらの勝負も見ものだ。