声がかすれ、咳が出る…その風邪症状は心筋梗塞の前兆だ
■糖尿病は要注意
当時のAさんは糖尿病を発症して5年ほど経っていて、神経障害を患っていたという。
「足の裏がジンジンする感覚があったのです。今になって思えば左肩や背中全体がやたらと凝っていて、奥歯に痛みがありました。本来ならもっと強い痛みを感じていたはずで、もっと早くに心臓が発した心筋梗塞のサインに気がついていたのかもしれません。ところが、神経障害のせいか、あまり深刻に捉えませんでした」(Aさん)
それにしても不可解なのは、Aさんの咳だ。なぜ心筋梗塞の症状となるのだろうか。東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授が言う。
「心臓は全ての臓器に血液を送り出すことで栄養や酸素を届ける役割を担っています。心筋梗塞になり働きが悪くなると、酸素を十分吸っていても肺に血液がたまり体は酸素不足となり、息苦しくなったり咳き込んだりするようになるのです」
心筋梗塞から心不全になると夜、あおむけに寝た時に肺に血液がたまって咳が出やすくなるという。