世界が注目 肝臓がん防ぐ「レスベラトロール」最新情報
しかし、ここでポイントになるのは、レスベラトロールがNASHの進行した段階である「炎症」と「線維化」に作用する点だ。レスベラトロールはもともと心臓疾患や肝疾患に効くという報告がある一方で、効かないという報告もあり、賛否両論だった。
「それが私たちの研究では、NASHが進行して起こる炎症、線維化を抑制できることが明らかになったのです」
NASHは腸内細菌エンドトキシンとの関連が指摘されている。エンドトキシンは正常な人では肝臓内で悪さをしないが、肥満があると脂肪から出るレプチンというホルモンが働きかけ、「STAT3(スタットスリー)」という経路を介してエンドトキシンの反応性を高め、炎症、線維化が起こる。レスベラトロールは「STAT3」を抑制することで、炎症、線維化を改善できると考えられている。
■NASHによる肝臓の炎症、線維化を食い止める
NASHの治療目的は肝硬変や肝臓がんへの移行のストップだ。いかに炎症を抑え、線維化させないかが重要になる。
「現在のところ脂肪肝の段階に効く薬はありますが、炎症や線維化まで進行するとダイレクトに作用する薬がありません。厄介なことに、NASHで治療を受けている患者さんは、脂肪肝から進行し、炎症や線維化の肝障害をすでに起こしている方が大半なのです」