世界が注目 肝臓がん防ぐ「レスベラトロール」最新情報

公開日: 更新日:

 しかし、ここでポイントになるのは、レスベラトロールがNASHの進行した段階である「炎症」と「線維化」に作用する点だ。レスベラトロールはもともと心臓疾患や肝疾患に効くという報告がある一方で、効かないという報告もあり、賛否両論だった。

「それが私たちの研究では、NASHが進行して起こる炎症、線維化を抑制できることが明らかになったのです」

 NASHは腸内細菌エンドトキシンとの関連が指摘されている。エンドトキシンは正常な人では肝臓内で悪さをしないが、肥満があると脂肪から出るレプチンというホルモンが働きかけ、「STAT3(スタットスリー)」という経路を介してエンドトキシンの反応性を高め、炎症、線維化が起こる。レスベラトロールは「STAT3」を抑制することで、炎症、線維化を改善できると考えられている。

■NASHによる肝臓の炎症、線維化を食い止める

 NASHの治療目的は肝硬変や肝臓がんへの移行のストップだ。いかに炎症を抑え、線維化させないかが重要になる。

「現在のところ脂肪肝の段階に効く薬はありますが、炎症や線維化まで進行するとダイレクトに作用する薬がありません。厄介なことに、NASHで治療を受けている患者さんは、脂肪肝から進行し、炎症や線維化の肝障害をすでに起こしている方が大半なのです」 

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし