世界が注目 肝臓がん防ぐ「レスベラトロール」最新情報
NASH(ナッシュ)と呼ばれる非アルコール性脂肪肝炎は成人の30%を占め、発症すると10年間で20%が肝硬変や肝臓がんに至る重大病だ。このたび、日本の医師が発見した最新情報が世界的医学雑誌「Scientific Reports」に発表され注目を集めている。研究を行った横浜市立大学付属病院肝胆膵消化器病学・結束貴臣医師(写真)に聞いた。
島根大学医学部薬理学・和田孝一郎教授との共同研究で、結束医師が中島淳主任教授と突き止めたのは、「レスベラトロールが、NASHの『肝硬変や肝臓がんに至る前段階』を食い止める」ということだ。レスベラトロールは、ポリフェノールの一種で、ブドウの茎や皮などの抽出エキスに含まれている。
NASHは、「肝臓に脂肪が過剰にたまる→炎症が起こって肝臓が腫れ上がる→線維化が進行する」という過程を経て、肝硬変、肝臓がんに至る。結束医師がNASHのモデルマウスを使って実験を行ったところ、レスベラトロールを投与したマウスは、「炎症」と「線維化」が食い止められた。現在はマウスを対象にした研究結果で、人間に対して、どのくらいの量、どのくらいの期間投与すれば効果があるのかまでは分かっていない。