認知症とうつ病 見極めのカギは冷蔵庫チェックにあり
米山医院院長の米山公啓氏が言う。
「高齢者はうつ病でも、認知症のように物忘れをすることが往々にしてあるのです。例えば配偶者が亡くなったり、長く勤めていた会社を引退したりするショックが引き金になります。60代以降は多かれ少なかれ、健康な方でも物忘れをする。それが、いろいろなショックからうつ病になって、ヤル気が低下すると、注意力が散漫になって、物忘れが悪化するのです」
■その人の背景や病歴をつぶさにチェック
伊藤さんも、物忘れの症状を見せるようになる直前、妻を亡くしていた。趣味の俳句会で作品を批判されたのがキッカケで、大好きだった俳句を詠む意欲を失って引きこもり、物忘れがひどくなった人もいるという。
家族にとってはささいなことであっても、本人にとってショックなら、うつ病による物忘れを招くのだ。
では、認知症とうつ病を見極める手だてはないのか。
「例えば、冷蔵庫を定期的にチェックすると、見極めの手掛かりが得られます。認知症だと、食材を買ったことを忘れたりして中身が増える傾向がありますが、うつ病だと減る。引きこもり生活で買い物をしなくなっても、最低限の食事はしますから」