白内障手術後も眼鏡なしに 多重焦点眼内レンズ最新事情
白内障は目の中の水晶体が濁り、視力障害が起きる病気だ。発症率は50代で50%、80代で80%と加齢とともにアップする。薬では治らず、治療は手術が中心。日帰りや数日の入院でも可能なので夏休み中の手術を計画している中高年もいるのではないか。ならば、新型の多重焦点眼内レンズを検討してはどうか。これまでと違って手術後に眼鏡が必要になるケースが減るという。東京都眼科医会学術部委員で「清澤眼科医院」(東京・江東区)の清澤源弘院長に聞いた。
「いままで国内で使われてきた多重焦点眼内レンズは、多重焦点と言いながらも遠くと近くの2焦点レンズでした。そのため、中間距離のものが見えづらく、手術後も運転するときなどに眼鏡使用が必要な人も多かった。しかし、最近は遠くと近くの間の視力低下を抑え、中間距離にも焦点の合う新型レンズが登場。これまでの欠点をカバーし、自然な見え方に近づいたといわれています。私は多重焦点眼内レンズの使用には慎重ですが、考えを改める時期が近づいてきたのかもしれません」
従来の多重焦点眼内レンズはレンズの構造上、単焦点眼内レンズに比べてコントラスト感度が低く、夜間に光がにじんで見えるハロー現象、まぶしく見えるグレア現象などが目立った。しかし、新型レンズではこれらの問題点も改善されたといわれる。