AIで糖尿病を予測 3年以内の発症リスクを瞬時に表示する
■対象は30~59歳
このAI予測には、AIを作成するニューラルネットワークという機械学習の一手法が用いられている。ニューラルネットワークとは、人間の脳の神経細胞のニューロンをプログラム上で再現し、データを与えて計算させる機械学習の手法。その与えているデータは、職域多施設研究(職場健診)で収集した糖尿病にかかっていない3万人の追跡調査による蓄積データに基づいているという。そのため予測の対象としているのは、糖尿病と診断されたことのない30~59歳の働く世代だ。
「従来の統計学的モデルによるリスク予測は、そのデータの平均的な傾向を見つけだしてリスクを算出していました。一方、AI(機械学習)はモデル自身がデータを学習し、特徴や法則性を見つけだします。ですから、各項目のデータの組み合わせに即した柔軟な予測ができるのです」
そのためAIの予測判定は複雑で、なぜそのような結果になるのか説明が難しい場合もあるという。例えば、肥満度や腹囲が大きいほどリスクが高まる傾向にあるが、こうしたリスク要因の影響の度合いは、他の検査データによって一様ではない。AIは実データに基づいてそのあたりのさじ加減をモデル化し、柔軟に予測しているわけだ。