閉経後は骨粗しょう症リスクが上昇 定期的に骨密度検査を
つらい更年期症状。しかしそれが、深刻な病気に気付くきっかけになることもあります。
その深刻な病気というのが、骨の強度が低下する骨粗しょう症。骨折から寝たきりを招き、健康寿命を短くするともいわれています。この骨粗しょう症に、ホルモンが非常に関係しているのです。骨は一生モノではなく、古い骨を壊し、新しい骨を作る「骨代謝」を繰り返しています。ところが閉経で女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、古い骨を壊す働きの方が強くなり、骨密度が減少。閉経後10年で、20~30代の骨密度より2割前後減少するといわれています。
男性もテストステロン(男性ホルモン)の減少で骨粗しょう症のリスクが高まりますが、女性の方が比率が高い。平成29年の内閣府高齢社会白書によると、65歳以上の要介護の原因にある「骨折・転倒」の割合は、女性15・4%、男性6%と、女性は男性の倍以上です。
骨粗しょう症対策の大きなポイントは、早期発見し、治療や生活習慣の改善で骨量の減少を食い止めること。ところが、骨粗しょう症は初期では自覚症状がありません。背骨の骨折などは痛みが少なく見逃してしまいかねない。また、腰が曲がるなど容姿の変化を骨粗しょう症と家族がいち早く気付けば治療につなげられます。一方、更年期症状で定期的に婦人科を受診していれば、骨粗しょう症の説明を受けるでしょうし、骨密度検査を受ける機会も得られるでしょう。これらから考えると、更年期症状がなくても、女性ホルモン減少でさまざまな病気のリスクが上がるため、定期的に婦人科を受診した方がいい。
なお骨粗しょう症の予防法は、骨密度の測定に加え、①カルシウムとその吸収を助けるビタミンDを食事で取り入れる②骨の形成を助ける運動を、皮下でビタミンDの合成が進む日光の当たる場所で。また、閉経前や閉経後間もない方は、ホルモン補充療法で骨量維持も可能。婦人科医に相談してみましょう。